Everything I never told you

Author: Celeste Ng
Category: Fiction
Length:  304pages 

Total recommends:
★★★☆
Difficulty: 
★★☆☆
Story:
★★★★☆
Can't-sleep-degree:★★★☆☆

Romance-packed-degree:☆☆☆☆☆
Mystery-packed-degree:★★★☆☆


2015年英語読書日記 No.56(耳読書No.41)320冊目   

これは、今年読んだ中で「苦しい系」ナンバー1の座に輝く作品でした。この表紙もかなり意味深です。これは読んでいる間「ああ苦しい」と思いながらだったんですが、この苦しさを味合わせてくれながら、最後まで読んでしまうというところにすごさがあるのではなかろうかと思いました。暗さもマックス。

でも読んでよかったです。心の叫びを味わうことでまた自分の中に層をなすような疑似体験を得ることができました。いただいた作品で、聞き始めたときに最後まで行けるかなあとさえ思ったんですが、読み終わらないと苦しいままなのでこういう結末でも知れてよかったと思いました。

中国人の移民の息子ジェイムス、ある私立学校に両親が用務員として雇われたことから、その学校に通うことになりハーバード大学を出て大学で教鞭をとっていた。はじめての大学の授業を受けていたマリリン。両親が離婚して母と二人暮らしをしながら、いつか医者になる夢を抱いて入学した矢先だった。当時にしては珍しかった中国系アメリカ人に惹かれた白人のマリリン。二人は結婚して、ジェイムスを雇ってくれた大学のあるオハイオに引っ越した。

生まれてきた子供たちも10代になり、大学進学の決まった兄、優秀で母のお気に入りの長女、年の離れた末の娘。しかし、ある日のこと、長女が忽然と姿を消した。そこから今まで見えないふりをしていた傷口が開いていく。人種差別、家族関係。誰もが抱くだろう悩みのその奥の深く深く入り込んだ、悲しみにメスを入れるような問題作。

長女が行方不明になる冒頭から、ずしりと何かが肩にのったような感覚に襲われます。人種差別が一番のテーマで、父親のジェイムスが味わう差別は、同じアジア人である私たちにはすごく理解ができると思います。白人の母との間に生まれた子供たちも、結局周りとは溶け込めないまま。結局は白人至上主義なのだということを突き付けられます。表面だけが平等を装い、そうでない社会。

そしてそのひずみから生まれる子供への極度の期待。子供を押しつぶしてしまうほどの抑圧感です。その描き方もありそうで怖いと思わせるうまさです。我が家はいわゆる「お受験」を経験しているので、思わず自分は子供を抑圧していないかと思ってしまいました。

そういう自分の中の感情を沸き立たせるような作品はやっぱりなかなかないです。心の中をのぞいているよう。

けがはそのうち治るもの、でも心の傷は見えないだけに癒える日は見えない。この作品は行方不明になった家族の中心である長女リディアがいなくなることで、ぽっかりあいた穴からそれぞれの心の血が噴き出した形です。

心の叫びの先に見えるものは。家族に光が届くことを願って読み続けました。

ここまで苦しい感じは久しぶり。

全然違う話ですが、これに近い苦しみ。
私は原作を読んで、心が苦しくなって、いまだ映画が観れません。ひたひたと漂う哀しさをずっと引っ張り続けるのはなかなかできない。アジア系作者ならではなのでしょうか。でもその雰囲気を保ち続けて読ませるのはやはりすごいのではないかと思いました。

英語は家族がテーマなのでとっつきやすいです。だからと言って、登場人物が少ないわけではなく、視点が家族それぞれに飛ぶので、難易度は★3つにしときました。

たまにはこういうものを読んで心を満たすことも必要かなと思いました。いつも登場人物皆がハッピーなハッピーエンドとは限らない。人生は甘いも辛いもあるんだということを感じさせてくれる作品となりました。

ああ、読書っていいですねえ。

ちょっとがんばって更新するようになると、読者がちょっとは増えてるような気がします。わかる範囲で読書日記とかを探そうとしてもなかなかないので、地味なりに同じような趣味をお持ちの方々の拠り所にになってくれないかなあなんても思います。英語読書日記にしてはがんばってるほう?宣伝もしてませんしね。

さて、次はきっと日本では知らない人はいないかもというベストセラー作家のミステリー。というか、この名前自体は知名度は高くないですが。

読んでいただきありがとうございました。

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