英語読書日記 ”Bog Child”

Bog Child
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激動のアイルランド紛争を背景に描かれる青年の選択

Author : Siobhan Dowd
Period(読書期間): 1/5~1/9 2011 (実質4days)
Category: Young Adult  Fiction based on the history
322Pages

Total recommends: ★★★☆☆
difficulty:★★☆☆☆
story: ★★★★★
can't-sleep-degree:★☆☆☆☆
romance-packed-degree:☆☆☆☆☆

(あくまで主観的判断ですので、ご了承ください。)

舞台はアイルランド北アイルランドの国境。時代はいまから30年ほど前の設定です。深くて長~い歴史のある国境。なぜアイルランドアイルランド北アイルランドで1つの島を分割されているのか知らなければわからないお話です。語ると長くなりますしね。鉄の女サッチャー女史の時代。IRAの時代。

もうすぐ高校を卒業する主人公Fergusは叔父と一緒に国境に行き、その沼地で偶然小さな女の子の死体を発見する。死体は他殺体だった。しかもそこには不可思議な事実が。

その小さな女の子の正体が明らかになるのと共に、Fergusの日常、「紛争」が身近にある日常で起こることの2つが絡んで話は進んで行きます。
そしてそれが実はリンクされて象徴として描かれている。

季節は夏にもかかわらず、まるで冬のようなお話。いつも雲がよどんでいて晴れ間がない。この国の過去を嘆くかのように。

悲惨な背景を舞台に透明感があるのは確か。非常に繊細で岐路に立たされる少年。生と死のコントラスト。

テーマは多岐に渡っています。アイルランドの大地、国境の緊張感。無差別テロ。国のために死をいとわない獄中の兄。さらっと流れるように描かれていますが、すごく重いテーマです。あの地域(イギリスとアイルランド)の人々がともすれば目をそむけたくなるテーマを正面から扱った故に賞賛される作品であるともいえます。

お話はフィクションですが、実際の史実に沿って書かれているので、当時のアイルランドの息苦しさが、少年の目を通して伝わってきます。

ちょっと前でいうと、ドイツの壁で隔たれているとか、それか38度線付近で暮らすといった感じでお分かりになるでしょうか。IRAの活動は「爆弾」や「ハンガーストライキ」で有名です。私が初めてロンドンを旅していたときにも、一度地下鉄で爆弾があるとかないとかの騒ぎで地下鉄が閉鎖されてバスに乗った記憶があります。いや30年も前ではありませんがね。やぶへび。活動の終息期だったかな。

こんな作品を読んでいる若者達。日本ももっとそうなってほしいと思うおばちゃんでした。日本でもこんな重くて良質なテーマを読んでいるんだろうか?ヤングアダルトですが、考えさせられるテーマの作品です。カーネギー賞受賞作。「A Northern Light」はシルバー受賞で、これはゴールド。個人的には「A Northern Light」が読みやすくて分かりやすいと思いました。

IRAの活動を描いた映画はいくつかメジャーなものありますね。例えば、
ブラピとハリソンフォードの「デビルズオウン」ブラピのアイリッシュなまりがかわいい。「パトリオットゲーム」とか。「マイケル・コリンズ」とか。ちょっとスピンオフになるけど私の好きな映画「クライングゲーム」なんかも一応関連。前にあげた「父の祈りを」もIRAと間違われて投獄されるお話です。

早く読めますが、けっこう手ごわかったです。辞書が手元にない状態で読んだので「タドキスト読み」しました。使われている単語もあの地域独特の言い方もあったと思います。だいたい想像できますが。ときどき頭に入りにくいときは音読けっこうしました。読みはじめにとっつきの悪さを感じたので。

ちょっと大げさですが近代の歴史を再認識させてもらいました。

この作者はデビュー後、数作書いて若くしてガンに倒れました。遺言で作品の収益は本をよめる環境にいない子供達のために使われる基金として使われているそうです。素晴らしい。

ちなみに私が行ったことのあるダブリン周辺は田舎でとっても緑が多くていいなあという印象。この本のようには感じませんでした。ボノや二ール・ジョーダンの家横を通ったり、映画の舞台にも行きました。楽しかったのを覚えています。

アイルランドは人は親切だし。アイリッシュ訛りは愛らしいし。今はEUの台風の目の一つですが、また行ってみたい国です。

本を読んでいる私の横で夫がサッカーを見ていて一言。

「ヨルダンの首都はにくまんちゃうで。」

「・・・・・・・。」

オヤジギャクを飛ばす横で平和でいいなあと思う私でした。