Total recommends: ★★★★★
Difficulty: ★★★☆☆
Story:★★★★★
Can't-sleep-degree:★★★☆☆
Romance-packed-degree:★☆☆☆☆
Romance-packed-degree:★☆☆☆☆
Mystery-packed-degree:★★☆☆☆☆
2017年英語読書日記No.66(耳読書No.55)439冊目
お越しいただきありがとうございます。
たまたまイギリスアマゾンで見つけたのですが、ベストセラーになったもののようです。セラピーストーリーとでも言いましょうか。これはほんとにめっけものでした。
最初は心がないのかというぐらい冷たいエレノア。誰とも心を通わさず、ただ一人同じことを繰り返す日々。そこに小さな小さな変化が訪れることから、少しずつ閉じた心を開いていく物語です。
心と体に深い傷を負って、フォスターケア(行政が成人するまで面倒を見る里親を含む制度)で心の交流がないまま育っているせいで、彼女は自分の生活にやってくる人たちにどう対応していいかわかりません。友人もなく、同僚とも交流がなく、冗談も言わない孤独な毎日で、KYな自分もわからない。
主人公の周りの人間が持つわだかまりを読者として同じように持ちながら、「大丈夫かな、この人」から徐々に「ああ、そうか」に変わり、最後はエールを送っている自分がいました。
精神的な病は治すのがほんとうに大変です。表に出て来るものにたいしてレッテルを貼られてしまい、避けられてしまう。好きでそうなったわけではなくても、世の中は冷たかったりします。逃げ場がない。コミュニケーションがうまくできないからよけいに孤立してしまう。
人間は、どんな人間でも、かならず必要なものがある。
それは自分でない生き物の存在。人や動物や、植物だったりもするときもある。(ここで出てくる観葉植物のシーンで映画「レオン」を思い出した私です)
どんな人もそれなしでは生きていることさえもわからないかも。 だから人間はややこしい。だから人間がいい。
これもお人よしの人物が出てくるんですが、そういう人がいないといけないなと思いました。思いやりが人の命をつなぎます。ほんとにこういうのを読むと世の中捨てたものじゃないなあとこころが柔らかくなります。
誰にも居場所を作ってあげようとする暖かさを感じました。
日本に暮らしていて、こうやって英語の環境を知り、英語で読んで、ふと思うのは、「裏のなさ」がある人がでてくることです。やさしさの感じがちょと違うなと思うのは私だけかなあ。アメリカの作品とはまた違う感じなんです。何というか、「あっさりしたやさしさ」とでも言いましょうか。
英語はしっかりした感じが感じられるイギリス英語です。男性、老人の使い分けもかなりうまいです。そしてグラスゴーという土地柄で、方言を聴くのも魅力的。イギリスものはaudibleはそういう意味で色鮮やかに感じる私です。文字では味わえないこの感覚を是非味わってほしいと思います。
ちょっとポイニャント(心苦しくなる)でもあるけど、心が少し軽く、優しくなるお話でもあります。
ちらっと映画化なんてものも目にしました。されるとしても少し先かもしれませんね。
物語っていいですねえ。
読んでいただきありがとうございました。
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